オオカミを食べる家

あるところに、オオカミを食べる家がありました。
むかしむかし、オオカミに食べられたブタのお友達が作ったものです。
オオカミが近づくと、その家はおおきなお口をあけて、オオカミをガブリとひと呑みします。
オオカミたちは、あの家だけには近づくまいと、おびえていました。
しかし、ある勇敢で賢いオオカミが、その家をぶっ壊してやるといいました。
賢いオオカミは手先の器用な友達に頼んで、オオカミを食べる家を食べる家をつくりました。
なにしろ家を食べてしまう家ですから、とても大きなものになります。
あんまり大きくて、運ぶこともできないので、できあがった家が自分で歩けるよう足をつけました。
オオカミを食べる家を食べる家がとうとう完成しました。
その家は立ち上がるとさっそく目的を果たすために走りだしました。
丘の上に一軒だけ建っているオオカミを食べる家に、
オオカミを食べる家を食べる家は大きな大きな口を開けて飛びかかりました。
大きな家は、自分より小さな家を丸呑みしてしまうと、もぐもぐと口を動かしました。
しかし、それでは足りなかったのか、大きな家はよだれを垂らしながら、あたりをきょろきょろ。
離れた場所にべつの家を見つけると、そちらにむかって走りだしました。
オオカミを食べる家を食べる家は、あんまり大きくて、いくら食べても満足しませんでした。
そうして一軒、また一軒とオオカミたちの家を食べていくのです。
こまったオオカミたちは、ブタの先生に助けを求めました。
その先生こそ、オオカミを食べる家を作ったブタでした。
オオカミたちの話を聞いたブタの先生は大急ぎで新しい家をつくりました。
新しい家のなかには、たくさんのお餅を入れておきました。
オオカミを食べる家があった場所に新しい家を置いておくと、よだれを垂らした大きな家が大きな口を開けたまま走ってきました。
そして、こんども一口で、ばくん、と食べてしまったのです。
もぐもぐとよく噛んで、飲み込もうとしたそのときです。
お餅がのどにつまって、大きな家はその場にどたんと倒れました。
勇敢なオオカミとブタの先生は急いで大きな家に近づき、お腹のドアを開けました。
食べられた家たちを外に出してあげると、オオカミとブタは協力して、大きな家をばらばらにしました。
オオカミとブタは、なにかを食べる家は作らないことを約束して、それぞれの家に帰っていきました。

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