きりんのき

昔々あるところから大きな木がはえてきました。
とつぜんあらわれたその木は、あっというまにぐんぐん大きく育ちました。
どうしてそんなところにはえたのか、だれにもわかりません。
だけど、とっても邪魔でした。
「切ってしまえ」という命令にしたがって、大勢で切り倒そうとしましたが、
大きな木は、びくともしませんでした。
「根っこから倒してしまえ」という命令にしたがって、
ブルドーザーを使い、土を掘り起こしましたが、
根っこはどこまでも深くつづいて、ぜんぜん倒れませんでした。
そのうち、だれもが大きな木をよけて暮らすようになりました。
あるとき、キリンがひとり、大きな木の近くを通りかかりました。
そろそろ夜で、ずいぶん歩いてきたキリンは、眠くなりました。
大きな木の、大きな枝に、あごをちょこんとのせると、
キリンはあっというまにぐうぐう眠ってしまいました。
それからというもの、大きな木はキリンたちの寝床になったそうです。

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